分子動力学向け構成事例

分子動力学の分野ではNAMD, LAMMPS, Amberなどのアプリケーションがよく用いられます。使用する計算モデルやサイズなどによってメモリ帯域幅の重要性は変わりますが、概ねコア数を重視した構成が一般的です。

Intel XeonはAMD EPYCやThreadripperと比べてCPUあたりの最大コア数は少ないですが、AVX-512のベクトル命令をサポートしているのが大きな利点です。Intel Xeon(特にXeon Gold 6000、Xeon Platinum、Xeon W)でインテルコンパイラ(+インテルMKL)を使用してコンパイルしたアプリケーションを実行する場合は、EPYCよりコア数が少ないXeonの方が高い性能になることもあります。一方、予算の範囲内で高性能なXeonを搭載できない場合やインテルコンパイラ、MKLを使わない場合には高コストパフォーマンスのAMD EPYC、またメモリ容量やメモリ帯域幅が要求されないのであればAMD Threadripperなども選択肢になります。

NAMD, LAMMPS, Amberなどの分子動力学のアプリケーションはGPGPUでの計算にも対応しています。計算に使う浮動小数点の精度で効果的なGPUが異なり、単精度や混合精度(一部のみ倍精度を利用)の浮動小数点を使う場合にはGeForceやTITAN(一部モデルを除く)といったGPUでも高い性能を発揮することができます。一方、計算の精度が重要で位置、速度および力など全て倍精度浮動小数点で計算する必要がある場合にはTesla V100、TITAN V、Quadro GV100といった倍精度浮動小数点演算性能の高いGPUが必要になります。

構成事例

1. Amber計算(GPU) + 可視化用Xeon PC

お問い合わせ内容

Amberの計算を行うための計算用GPUと、可視化用のQuadro GPUを搭載したXeon搭載デスクトップ。

ご提案構成

GPUは計算用にGeForce RTX 2080Tiを1枚、モニタ用にQuadro P4000を搭載し、ご予算の範囲内で選択可能なCPUとしてXeon W-2145、メモリを32GBとしました。Amberはお客様ご自身でインストールされるとのことで、CUDAのセットアップと動作確認まで実施しています。

主な仕様

  • CPU: Xeon W-2145 3.70GHz 8コア
  • メモリ: 32GB DDR4-2666 4-channel
  • GPU: Quadro P4000
  • GPGPU: GeForce RTX 2080Ti
  • ATXミドルタワーケース
  • CUDAプリインストール

関連モデル

GPU-Xeon1W-SPCL: Xeon Scalable Processor搭載GPU最大2枚モデル
GPU-EPYC1W: AMD EPYC搭載GPU最大3枚モデル

2. LAMMPS計算(CPU)用Xeon PC

お問い合わせ内容

LAMMPSでの計算を行うためのコア数の多いXeon搭載デスクトップ。

ご提案構成

デスクサイドに置いて使用し、メモリ量16GB程度であとは予算内でとにかくコア数の多いCPUということで18コアのXeon 1基搭載のATXタワー型の構成としました。またLAMMPSをプリインストールし、動作確認を実施しました。

主な仕様

  • CPU: Xeon E5-2699 2.3GHz 18コア
  • メモリ: 16GB DDR4-2133
  • ATXミドルタワーケース
  • LAMMPSプリインストール

現行CPUであればXeon 1基搭載タワー型やEPYC 1基搭載タワー型などでデスク上で利用可能な構成になります。Xeonモデルは搭載CPUやビデオカードによってはMicroATXキューブなどの小型ケースにすることもできます。

関連モデル

Xeon1W-SPCL : Xeon Scalable Processor 1基搭載タワー型
EPYC1W : AMD EPYC 1基搭載タワー型


本ページのハードウェア構成は納品当時の構成のため、最新のパーツではないことがあります。また同分野のアプリケーションであっても実際の性能は計算モデル、アルゴリズム、コンパイラ、ソルバーやライブラリ、ソースコードなどに依存するため、必ずしも最適な構成ではない場合があります。